個人の預貯金の引き出し方

故人の預貯金は、金融機関が知った時点で凍結されます。

預貯金の引き出しは、遺産分割の手続き後に

金融機関は名義人の死亡を知ると、預貯金の口座取引を停止します。すると、窓口でもキャッシュカードでも、現金を引き出せなくなり、公共料金なども引き落とされなくなります。なぜかというと、名義人の死亡時点から預貯金は法的に「遺産」となり、相続人全員の財産になるからです。そのため、遺産分割の手続きがきちんとできていないと、引き出せなくなるのです。

葬儀費用として150万円まで引き出せる

しかし、葬儀はよきせぬことでもあり、すぐに現金が必要なことも多いので、金融機関に申し出ると、150万円を限度として窓口で引き出しに応じてくれるようです。必要書類、保証人の有無は、各金融機関にお問い合わせ下さい。

遺産分割の手続き後に残りの預貯金を引き出すには

凍結された預貯金から現金を引き出すときには、故人の除籍謄本、相続人全員の印鑑証明、遺産分割協議書を添えて、その金融機関で手続きします。ですから、遺産相続について正式に、具体的に決まってからということにまります。預貯金の名義変更についても同じような手続きが必要です。金融機関により若干違いますので、直接お問い合わせ下さい。

死亡を知られる前に引き出したら

金融機関が名義人の死亡を知る前には現金を引き出せますが、その分の返還を求められることはないようです。しかし、相続人全員の納得の上でないと、遺産分割の際にもめることになりかねませんので、故人の預貯金は全員の「相続遺産」であることをよく認識しましょう。

貸金庫を開けるとき

貸金庫の中身も遺産です。相続が確定する前は相続人全員の共有ですから、相続人全員の合意がなければ開けることはできません。銀行によって多少の違いはありますが、基本的に預貯金の引き出しと同じ手続きが必要です。

ポイント

1.預貯金の引き出しは、遺産分割の手続きができてから。
2.150万円までは、すぐに引き出せることが多い。
3.故人の預貯金は、全員の「相続遺産」である。

預貯金がどこの銀行にあるかわからないとき

Q.どこかの銀行に故人の口座があるはずなのですが、通帳もカードも、どうしても見つかりません。どうやって探したらよいでしょう?
A.通帳が見つからないときなどは、まず郵便物を調べてみましょう。銀行からのお知らせがあったり、公共料金の引き落としの領収書などから、口座がわかるときがあります。それでもわからないときには、家の近くや、職場の近くの銀行に一つひとつ問い合わせをしてみます。残念ながら、どこか1ヶ所に問い合わせてすべての銀行を探すシステムは、今のところないようです。

生命保険の受け取り方

連絡と請求を忘れずに

生命保険に加入していた人が死亡しても、請求人による支払請求の手続きがなされない限り、生命保険金は支払われません。 なるべくすみやかに、故人が加入していた保険会社へ連絡して、支払請求を行なうための書類を送ってもらいます。

保険会社への連絡では

  1. 証券番号
  2. 被保険者氏名
  3. 死亡した日
  4. 死因

を知らせます。
書類が送られて来たら、記入して、添付書類とともに提出します。 提出した書類に誤りがなければ、保険会社から1週間ほどで保険金が支払われます。

生命保険をもらう手続き

だれが・・・・・

保険金の相続人に指定されている人、または相続人

どこで・・・・・

契約していた生命保険会社

用意するもの・・・・・

「死亡保険金支払請求書」→請求先にあります。

  1. 保険証券
  2. 死亡診断書(死体検案書)
  3. 死亡した人の戸籍謄本(除籍含む)
  4. 受取人の戸籍謄本
  5. 受取人の印鑑証明
  6. 契約印

※受取人が複数の場合、4.5.は全員の書類が必要

いつまでに・・・・・

なるべく早く。遅くとも3年以内。

手続きの期限

死亡保険金の手続きの期限は、法規で2年以内と定められています。しかし、実際には3年以内としている保険会社が多く、中にはもっと長期間受け付けている保険会社もあるようです。

★住宅ローンの生命保険の手続きも忘れずに

最近の住宅ローンは、生命保険付が一般的です。手続きは、借入先の金融機関へご相談下さい。 尚、住宅金融公庫借入金に生命保険がついている場合もあります。確認してみましょう。

保険金を受け取れない場合

次のような場合、保険金の支払が中止になることがあります。

  • 被保険者が保険契約してから1年以内に自殺したとき
  • 健康状態が正しく告知されていないとき
  • 故意や犯罪によるとき

保険金は、課税対象になります

保険金は、誰が保険料を支払い(契約者)、誰に保険をつけ(被保険者)、誰が保険金を受け取るか(受取人)によって、相続税(遺産額が一定以上の人)、贈与税、所得税のいずれかの、課税対象になります。 受取人が相続人の場合は、非課税の適用があります。 相続人が生命保険金を相続するときには「500万円x相続人の人数」が、非課税となります。

契約者被保険者死亡保険金受取人税金の種類
相続税
所得税・住民税
贈与税

■契約者・・・保険料を支払っている人
■被保険者・・保険に入っている人
■死亡保険金受取人・・死亡保険金を実際に受け取る人

リビング・ニーズ

リビング・ニーズで保険金を受け取った場合の税金は非課税です。

リビング・ニーズ特約により保険金を請求し、生前に保険金を受け取る場合には、非課税となります。 ただし、保険金を受け取った後、全額使い切らないうちに死亡した場合、残額は現金として相続税の課税対象となります。 また、残額には死亡保険金の非課税枠(500万円x法廷相続人数)の適用はありません。

健康保険・国民健康保険の手続き

保険証の返却・変更

健康保険証の被保険者や被扶養者が亡くなったとき、国民健康保険は市町村役場の窓口、健康保険は事業主を通じて、すみやかに保険証の返却、または変更の手続きを行ないます。

健康保険から埋葬料をもらう手続き

健康保険(国民健康保険以外)に加入していた本人がなくなった場合には、埋葬料として給与(標準報酬月額)の1ヶ月分を受け取ることができます。

手続きは申告制

埋葬料の受け取りの手続きは申告制です。社会保険事務所または勤務先が加入している健康保険組合に、所定の書類を提出して申請します。 申請期間は、亡くなった日から2年以内です。 なお、健康保険に加入している人は貸家などに勤務している人がほとんどですから、勤務先で手続きを代行してくれる場合もあるようです。

最低保証額は10万円

給与が10万円以下であっても、10万円がもらえます。

●健康保険に加入している本人の扶養家族が死亡した場合

家族埋葬料として10万円を受け取ることができます。

申請をする人

実際に葬儀を行なった人(喪主)が申請するのが基本ですが、それにふさわしい近親者でも申請できます。 埋葬料を受ける人がいない場合や、死亡した人がひとり住まいで遠くに住む親戚が葬儀を行なったような場合は「埋葬費」といい、埋葬料の範囲内で支給されます。

健康保険の埋葬料(費)をもらう手続き

だれが・・・・・

喪主か、ふさわしい近親者。

どこで・・・・・

勤務先の健康保険組合、または勤務先地区を管轄する社会保険事務所。

用意するもの・・・・・
  1. 健康保険証
  2. 埋葬許可証か死亡診断書のコピー
  3. 印鑑
  4. 振込先口座番号
  5. 埋葬費用の領収書(遺族以外が申請するとき)
いつまでに・・・・・

死亡した日から2年以内。 申請書類が完備していれば、指定振込先口座に2~3週間後に振込まれる。

国民健康保険から葬祭費をもらう手続き

(市区町村によって支給額が異なる葬祭費) 国民健康保険に加入していた本人(被保険者)や扶養家族が死亡した場合、葬儀を執り行なった人に対し、「葬祭費」として一定の金額が支給されます。 もらえる金額については、市区町村により異なります(3万~10万円くらい) この支給も申告制になっていますので、所定の書類を提出して申請します(自治体によっては自動的に書類が送られてくるところもあります) このとき、国民年金の受給手続きもとったほうがよいでしょう。国民年金の手続きには、国民年金書(国民年金手帳)が必要ですので、持参しましょう。

ポイント
  1. 健康保険の埋葬料(費)の手続きは申告制。
  2. 国民健康保険の葬祭費の手続きも申告制。

国民健康保険の埋葬料(費)をもらう手続き

だれが・・・・・

喪主か、ふさわしい近親者。

どこで・・・・・

被保険者の住所地の役所の国民健康保険課

用意するもの・・・・・
  1. 国民健康保険証
  2. 葬儀費用の領収書・会葬礼状など
  3. 印鑑(喪主のもの)
  4. 銀行振込の場合もあるので、口座番号がわかるもの
いつまでに・・・・・

死亡した日から2年以内。 または葬儀を行なった日から2年以内。

母子家庭になったら

母子家庭になり、児童扶養手当を受けたいとき

母子家庭となったとき、以下の人は児童扶養手当の申請をすることができます。

世帯主となった母親または養育者に高校生以下の子供がいる場合。

所得に制限があります。 また、受給者が公的年金を受けられる場合や、児童が施設に入所している場合は、支給できません。

手続きは・・・・・

市区役所・町村役場の児童課か福祉課

用意するもの・・・・・
  1. 戸籍謄本
  2. 世帯全員の住民票
  3. 所得証明書
  4. 振込先口座番号
  5. 印鑑

高額療養費の手続き

長期の入院などで自己負担額が一定額を超えた場合、健康保険・国民健康保険から。一定額を超えた分のお金が払い戻されます。 これを、高額療養費といいます。給付の条件は、下表1~3の3つです。 このような高額療養費に該当するときは、医療費の領収書のコピーと印鑑、健康保険証を高額療養費支給申請書に添えて、役所の窓口に持参し手続きをとります。 ところによっては、医療費を支払った2~6ヵ月後に、健康保険の担当部署から高額療養費の払い戻しの案内が送られてくる場合や、健康保険組合の一部では、自動的に払い戻してくれるところもあります。

高額療養費の給付条件

1.1人で多くの医療費がかかった場合

同じ月(1日から末日まで)に、同一の医療機関(医科・歯科別、総合病院では各科別、入院・通院)で同一の診療を受け、自己負担額が「一定額」を超えたとき、超えた分が払い戻されます。 ただし、あくまで保険扱い分が対象です。差額ベッド代は保険外ですので、高額療養費の対象にはなりません。

2.2人以上で(同一世帯)多くの医療費がかかった場合

同一の世帯で同じ月に自己負担額が3万円以上(特別区民税非課税世帯は21,000円)の患者が2人以上いた場合は、それを合算して一世帯で「一定額」を超えたとき、超えた分が払い戻されます。

3.年4回以上高額療養費に該当したら

同一世帯で過去12ヶ月間に4回以上高額療養費が支給される場合は、4日目から自己負担額がさらに引き下げられます。

※低所得者・・・・市区町村民税非課税者、または生活保護法の要保護者のこと。

「一定額」は収入によって変わりますので、詳しくは各保険の窓口でお問い合わせ下さい。

無利子で借りられる高額医療費貸付制度

高額療養費は、請求してから支払いを受けるまで、2ヶ月程度かかります。したがって、そのあいだ家計の負担は大変なものとなります。 そこで、高額療養費支給までのあいだ、保険医療期間窓口への支払資金を保険者が貸し付ける制度が、高額医療費貸付制度です。 貸付額は、高額療養費支払見込額の8割相当額で、無利子扱いになります。 高額療養費がおりると、自動的に高額医療費貸付のほうに返済されるようになっています。 手続き方法については、高額療養費と同じ窓口にお問い合わせください。

ポイント
  1. 支払った医療費が高額な場合、健康保険・国民健康保険から医療費の一部が払い戻される。
  2. 差額ベッド代など、保険のきかないものは高額療養費の対象にならない。
  3. 高額療養費が払い戻されるまでのあいだ、「高額医療費貸付制度」でお金を借りることができる。
医療費の支払いに困ったら貸付制度の利用を

健康保険の高額療養費をもらう手続き

どこで・・・・・

健康保険・・・・健康保険組合事務所か社会保険事務所。 国民健康保険・・役所の健康保険課。

用意するもの・・・・・
  1. 健康保険証
  2. 印鑑
  3. 案内のはがき(送られてきた場合)
  4. 医療機関の領収書(コピー)
  5. 故人の戸(除)籍謄本
  6. 申請人の戸籍謄本
  7. 振込先の口座番号がわかるもの
いつまでに・・・・・

領収書の日付から2年以内。

故人が原爆被災者だった場合

12万円もらえます

死亡された方が健康保険や国民健康保険の加入者で、原爆の被災者だった場合は、居住地の役所の窓口へ被爆者手帳を提出すると、被爆者埋葬料として12万円が別にもらえます。

厚生年金・国民年金の手続き

年金停止の手続き

年金を受給している人が死亡したとき、14日以内に年金停止の手続きを 年金は本人の死亡によりただちに停止されなければなりません (戸籍課に死亡届を出しただけでは、年金は停止されません)。 年金の停止手続きは「本人の死亡後14日以内」という短い期間に行なうことが決められています。 手続きをしないままでいると、本人がまだ生きているものとして引き続き支払われてしまうことがあります。 その場合、本人の死亡後に受け取ったすべての金額を一括して返さなければなりません。返却の手続きもたいへん面倒です。 早めに届けておきましょう。

年金を停止するためには、遺族が役所や居住区域を管轄する社会保険事務所に、年金証書を添えて年金受給権者であった 者の死亡届(失職届)や、未払給請求書(死亡届とセットで綴られている)を提出します。 このとき、故人の年金で遺族がもらうことのできる年金(遺族年金)があれば、切り替えの手続きを行ないます。

国民年金のみに加入中の人が死亡したとき

国民年金は、3つに分類されていて、自営業者を「第1号被保険者」、サラリーマンを「第2号被保険者」、サラリーマンの奥さんを「第3号被保険者」としています。 その中で、第1号被保険者が亡くなった場合、国民年金からは遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金のいずれかが支給されますので、どれか1つを選択します

年金停止の手続き

受給できる人

故人の年金の未支払分を受給できるのは、次の親族です。[優先順]

  1. 生計を共にしていた配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
どこで・・・・・

役所や居住地区を管轄する社会保険事務所

用意するもの・・・・・
  1. 年金証書
  2. 死亡診断書か埋葬許可書
  3. 戸籍謄本や戸籍抄本
  4. 故人と年金請求者の住民票の写し(世帯全員)など
いつまでに・・・・・

死亡後14日以内

遺族が受給できる年金および給付金

遺族が受給できる年金は、種類や遺族の状況によって給付内容が変わります。

死亡した人遺族 
国民年金被死亡した人保険者
(国民年金第1号被保険者)→老齢基礎年金の受給資格を持つ人も同じです。※1
●妻と18歳未満の子遺族基礎年金
●18歳未満の子がない妻死亡一時金
●18歳未満の子遺族基礎年金
●その他の遺族死亡一時金
厚生年金被保険者
(国民年金第2号被保険者)→共済年金被保険者も同じです。※2
●妻と18歳未満の子遺族基礎年金

遺族厚生年金
●18歳未満の子がない妻中高齢寡婦加算

遺族厚生年金
●18歳未満の子遺族基礎年金

遺族厚生年金
●その他の遺族遺族厚生年金
厚生年金被保険者の扶養配偶者
(国民年金第3号被保険者)
 なし
老齢基礎年金受給者●妻と18歳未満の子遺族基礎年金
●18歳未満の子遺族基礎年金
●その他の遺族なし
老齢基礎年金受給者特別支給の老齢厚生年金受給者も同じです。 ※3●妻と18歳未満の子遺族基礎年金

遺族厚生年金
●18歳未満の子がない妻中高齢寡婦加算

遺族厚生年金
●18歳未満の子遺族基礎年金

遺族厚生年金
●その他の遺族遺族厚生年金

●妻と18歳未満の子……子が身体障害者の場合は、子の年齢が2歳引き上げられ、20歳未満までとなります。
●その他の遺族……………夫・父母・祖父母は55歳以上、支払は60歳からです。

※1 老齢基礎年金の受給資格を持っている60~65歳までの人で、給付を受けていない人。
※2 共済年金は厚生年金に準ずる。
※3 給付開始時期(規定は65歳から)を特別に繰り上げたり繰り下げたりして給付を受けている人。

国民年金の遺族基礎年金をもらう手続き

子のある妻、または子に支給される遺族年金

国民年金に加入中、または老齢基礎年金の受給資格期間を満たした人が亡くなったときは、生計を維持されていた、子のいる妻や子に、遺族基礎年金が支給されます。

[受給対象となる条件]

1.故人が国民年金に加入してから死亡した月までの間に、保険料を納めた期間と免除された期間が、加入期間の3分の2以上であること。
2.1に該当しない場合、死亡月の前々月までの1年間に、故人の保険料の未納期間がないこと(平成18年3月31日まで)

[受給できる人]

故人によって生計を維持していた者で

  1. 18歳未満の子(子が1、2級の障害者の場合は20歳未満)がある妻
  2. 18歳未満の子(子が1、2級の障害者の場合は20歳未満)

※1)子は未婚であること。
※2)「妻」には内縁の妻も含まれます。
※3)父親が死亡したとき胎児だった子供は、生まれてから遺族基礎年金の対象となります。

したがって、夫の死亡時に子供がいない妻が妊娠中だった場合は、出産後に遺族年金を受けられるようになります。

[受給権を失うとき]

子が18歳を迎えたあと、初めての年度末(3月31日)を迎えた時点で、給付は打ち切られます。

[遺族基礎年金の支給額]
1.子のある妻の場合年間1,035,600円
2.子のみの場合年間804,200円
3.子の2人目から1人につき年間231,400円
4.子の3人目から1人につき年間77,100円

(平成13年度現在)

国民年金の遺族基礎年金をもらう手続き

どこで・・・・・

請求人の住所地の市区役所・町村役場の国民年金課

用意するもの・・・・・
  1. 死亡した被保険者と請求者の年金手帳
  2. 戸籍謄本(除籍の記載があるもの)
  3. 世帯全員の住民票(除籍の記載があるもの)
  4. 死亡診断書のコピーか死亡届記載事項証明書
  5. 振込先口座番号
  6. 印鑑(朱肉を使用するもの)
  7. 課税・非課税証明書など
いつまでに・・・・・

なるべく早く(死亡から5年以内)

国民年金の寡婦年金をもらう手続き

妻の老齢年金までのつなぎ役

死亡した人との婚姻期間が10年以上ある妻(内縁関係も含む)は、60~65歳までのあいだ、寡婦年金を受けとることができます。ただしこれには、被保険者の保険納付期間(免除期間を含む)が、25年以上であることが必要です。

支払期間は5年間

支給されるのは、寡婦が60歳になってから65歳になるまで5年間です。60歳を過ぎてから寡婦年金の支給資格ができても、その時点から65歳までの期間の支給となり、たとえば62歳で受給資格を得た場合は65歳までの3年間になるわけです。年金額は、夫が受けることのできた老齢基礎年金の4分の3に金額です。

[受給対象となる条件]
  1. 受給条件を満たしていないため、遺族基礎年金を受けられない妻。
  2. 死亡した被保険者である夫が、老齢基礎年金を受ける資格期間を満たしていて、まだ老齢基礎年金を受ける資格期間を満たしていないとき(繰り上げて特別支給を受けている場合は該当しません)。または、障害基礎年金を受けていないとき。
[受給権を失うとき]

妻が65歳になり、妻自身の老齢基礎年金うを受けられるようになると、寡婦年金の給付は終わります。妻が65歳前に繰り上げ支給を受ける場合も、同様に打ち切られます。

国民年金の寡婦年金のをもらう手続き

どこで・・・・・

請求人の住所地の市区役所・町村役場の国民年金課

用意するもの・・・・・
  1. 死亡した人と請求者の年金手帳
  2. 戸籍謄本(除籍の記載があるもの)
  3. 住民票(除籍の記載があるもの)
  4. 振込先口座番号
  5. 印鑑 .課税・非課税証明書など
いつまでに・・・・・

なるべく早く(死亡から5年以内)

※注意 寡婦年金を受ける資格があると、「死亡一時金」または「寡婦年金」の一方を選ぶことになります。二つは受けられません

国民年金の死亡一時金をもらう手続き

第1号被保険者

国民年金第1号被保険者が3年以上保険料を納めていて死亡したとき、以下の条件の遺族に死亡一時金が支給されます。 これは、遺族基礎年金も寡婦年金も受けられない遺族のための給付です。寡婦年金と死亡一時金では、場合によっては一時金のほうが有利な場合もあります。たとえば、夫の死亡後、まもなく65歳になる妻の場合、死亡一時金のほうが寡婦年金より有利なこともあるからです。

[受給対象となる条件]

1.2.の順です。

  1. 受給条件を満たしていないため、遺族基礎年金も寡婦年金も受けられない妻と子。
  2. 生計を同じくしていた遺族で、夫、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順。
[国民死亡一時金の支給額]
保険料を納めた期間一時金
3年~15年120,000円
15年~20年145,000円
20年~25年170,000円
25年~30年220,000円
30年~35年270,000円
35年以上320,000円

(平成13年度現在)

国民年金の死亡一時金をもらう手続き

どこで・・・・・

請求人の住所地の市区役所・町村役場の国民年金課

用意するもの・・・・・
  1. 死亡したの年金手帳
  2. 住民票(除籍の記載があるもの)
  3. 振込先口座番号
  4. 印鑑

※生計が同じでも、死亡した人と別居していて場合は、上記の他に戸籍謄本が必要です。

いつまでに・・・・・

なるべく早く(死亡から5年以内)

厚生年金共済年金の遺族厚生(共済)年金をもらう手続き

故人が厚生年金や共済年金に加入していた場合、以下の条件を満たしていれば、遺族には遺族厚生年金や遺族共済年金が支給されます(遺族厚生年金と遺族共済年金は、手続きにおいてほぼ同じです)。遺族厚生年金として支払われる金額は年金の加入期間や扶養家族の数、給与額などで変わってきます。原則としては、夫が生きていた場合に受けとることができた老齢厚生年金または退職共済年金の4分の3の金額となります。

[受給対象となる条件]
  1. 遺族厚生に加入していた本人(被保険者)が在職中に死亡したとき。
  2. 遺族年金保険の被保険者の資格を喪失したのち、加入していたときのケガや病気が原因で、初診日から5年以内に死亡したとき。
  3. 1級か2級の障害厚生年金を受けている人が死亡したとき。
  4. 老齢厚生年金を受けている人が、受ける資格期間を満たしている人が死亡したとき。
[受給できる人]

死亡した人によって生計を立てていた遺族は、次の1~5の順で受給資格があります。遺族の年齢制限([ ])内は、いずれも故人の死亡当時の年齢です。

  1. 配偶者[夫は55歳以上、妻は年齢制限なし]支給は60歳から。
  2. 子[18歳未満、障害者は20未満]
  3. 父母[55歳以上]支給は60歳から
  4. 孫[18歳未満、障害者は20未満]
  5. 祖父母[55歳以上]支給は60歳から

※上記のうち、子・孫とは、18歳未満に達した日以後の最初の年度末(3月31日)までの子、孫で、婚姻をしていない場合に限られます。

18歳未満の子がいれば、遺族基礎年金も併せてもらえる

厚生年金の被保険者は、同時に国民年金も加入していますから、子の年齢によっては遺族基礎年金も併せて受けられます。 子供が18歳になり、初めての年度末(3月31日)を迎えると、遺族年金はなくなり、以後は遺族厚生年金のみとなります。 手続きは、遺族厚生年金と同時に行ないます。

遺族厚生年金・遺族共済年金をもらう手続き

どこで・・・・・

請死亡した被保険者の勤務先を管轄する社会保険事務所。 退職者の場合は、住所地を管轄する社会保険事務所。

用意するもの・・・・・

事前に.請求先をお確かめ下さい。

  1. 基礎年金番号通知書
  2. 年金証書(年金を受けていた場合)
  3. 死亡した被保険者と請求者の年金手帳
  4. 戸籍謄本(除籍記載のあるもの)
  5. 世帯全員の住民票(除籍記載のあるもの)
  6. 死亡診断書のコピーか死亡届記載事項証明書
  7. 振込先口座番号
  8. 印鑑
  9. 課税・非課税証明書
いつまでに・・・・・

なるべく早く(死亡から5年以内)

[中高齢寡婦加算]

40~65歳に妻への加算

妻に生計を同じくする18歳未満の子がいなかったり、子がいたとしても18年度末に達すると、遺族基礎年金は支給されません。しかし、上記の条件にあるとき、40歳から65歳まどのあいだ、中高齢寡婦加算が受けられます。

◇夫の死亡時、妻が35歳以上で、18歳未満の子供がいないため、遺族基礎年金をもらえない場合。
◇夫が老齢厚生年金や、1、2級の障害者厚生年金を受給中に死亡し、厚生年金の被保険者期間が20年以上ある場合。

社会保険事務所が、自動的に手続きをしてくれます。

返却・停止・名義変更するもの

故人名義の免許証や各種契約などは、返却・解約などの手続きを、きちんと行ないましょう。放っておくと悪用されたり、回避が引き落とされたりする恐れがあります。

◇返却するもの:パスポート、老人優待パス、運転免許証など。
◇退会・解約するもの:夫が老齢厚生年金や、1、2級の障害者厚生年金を受給中に死亡し、厚生年金の被保険者期間が20年以上ある場合。

故人の勤務先に関する手続き

会社に勤めている人が亡くなったとき、勤務先への手続き、勤務先に依頼する手続きがたくさんあります。特に、社内預金、団体保険、年金に関しては、遺族がきちんと把握していないことが多いものです。総務課などに問い合わせてよく確認し、すみやかに必要な手続きを済ませましょう。

手続きチェックリスト

  1. 死亡退職届の提出
  2. 身分証明書の返却
  3. 最終給与の受け取り
  4. 退職金の受け取り
  5. 社内預金がある場合はその受け取り
  6. 健康保険証の返却
  7. 健康保険による埋葬料受給申請
  8. 団体生命保険の死亡保険請求の手続き

故人の確定申告と医療費控除

確定申告の手続き

故人の確定申告は、相続する人が1月1日から故人の死亡日までの所得を、相続を知った翌日から4ヶ月以内に申告します。これを、「準確定申告」といいます。法定相続人が2人以上いる場合は、同一書類で一緒に申告することになります。準確定申告が必要なケースは一般の確定申告と同じで、故人が以下に該当する場合です。

※詳しくは税務署にお問い合わせ下さい。

サラリーマンの場合

  1. 2ヶ所以上から給与を受けていたとき。
  2. 給与収入が2千万円を超えていたとき。
  3. 給与所得や退職所得以外の所得が、合計20万円を超えていたとき。
  4. 多額の医療費を支払ったとき。
  5. 同族会社の役員や親戚などで、給与のほかに貸付金の利子、家賃などを受け取っていたとき。

自営業・年金生活者など、サラリーマン以外の場合

1年間のすべての所得が、控除の合計額を超えたときなど。

1月1日から3月15日までに死亡した場合は、前年分の所得税の確定申告もしなければなりません。期限は同じく、相続を知った翌日から4ヶ月以内です。

故人の所得税は相続人が支払う

この確定申告によって、故人の所得税が決まります。この、所得税を負担するのは相続人になりますが、負担額はその相続人の相続財産から債務として控除されます。

準確定申告の手続き

申告する人・・・・・

相続人

どこで・・・・・

死亡した人の住居地にある税務署

用意するもの・・・・・
  1. 故人の源泉徴収票
  2. 相続人全員の認印
  3. 控除(医療費、社会保険料、生命保険料、損害保険料など)となる証明書や領収書
  4. 申告者を確認できるもの(免許証など)
いつまでに・・・・・

相続を知った日の翌日から4ヶ月以内

申告のときに医療費控除の手続きを行なう

10万円を超えた分の医療費は所得から控除されます

税金を納めていた本人と、その扶養家族(生計を一つにしている親族)のために支払った医療費を含めて、実際に支払った医療費の自己負担額が年間10万円以上の場合、年末調整あるいは所得税の確定申告(準確定申告)の際に、一定の金額が所得から控除されます(給与所得控除後の合計金額が200万円に満たない場合は、医療費がその五パーセントを超えた場合)。医療費控除として差し引くことが出来る金額は、最高200万円まです。

●保険などから支給された分は医療費から差し引く

また、県保組合から支給された医療費や高額療養費、家族療養附加金、生命保険などで支給される入院費給付金、自動車事故などの加害者により補填される金額は、実際に支払った医療費の合計額から差し引いて計算します。

●手続きには領収書等が必要

手続きは、確定申告の医療費控除欄に記入して行ないます。申告は、相続人が行ないます。医療費の支出を証明する領収書類が必要です。いままで医療費の所得控除を忘れていた場合、5年前のものまで還付請求ができます。

控除の対象となる医療費
  • 医師、歯科医師に支払った診療費や治療費
  • 治療、療養に必要な医薬品の購入費
  • 病院や診療書、助産所に支払った入院費、入所費、分娩費
  • 治療のための、あんま、はり、きゅうなどの施術費
  • 老人訪問看護ステーションの利用費
  • 日常最低限の用をたすために必要な義手、義足、松葉杖、補聴器などの費用
  • 医師の診療を受けるための通院費用
  • 6ヶ月以上寝たきり状態で、おむつの使用が必要であると医師が認めた人のおむつ代

ポイント

  1. 源泉徴収されていた倍は、還付金(税金の戻り)がある場合がある。
  2. 医療費の領収書は、保管しておく。
  3. 医療費の所得控除は、5年前のものまで還付請求できる。

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